・肩に力を入れず、幅広い方々に興味を持っていただくきっかけになればと思います。
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2015年11月30日月曜日

【研究ノート】 米FRB利上げとドル高(政策金利)

目次

   1.政策金利とは
   2.利上げと利下げ
   3.利上げをすると通貨高になる理由
   4.主な通貨の政策金利



以下、本文

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1.政策金利とは

・中央銀行が民間銀行にお金を貸す際の金利
・例えば日銀がA銀行にお金を貸す際、A銀行は年利0.1%の利子を払っている(2015年5月現在)
・0.1%は、ほぼ0%のようなもの。それでこれをゼロ金利と呼ぶ
・従って、ゼロ金利政策は必ずしも金利ゼロではない
・ゼロ金利政策の語源は、1999年、速水日銀総裁が0.15%に利下げした際、「ゼロでも良い」と発言したこと

wikipedia-ゼロ金利政策
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E9%87%91%E5%88%A9%E6%94%BF%E7%AD%96
 1998年(平成10年)、日本ではバブル崩壊後最悪の経済状況となる中で、大規模な財政政策が取られた。金融政策においても緩和が求められることになり、1999年(平成11年)2月、日本銀行は短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15 %に誘導することを決定。この時、当時の速水優日本銀行総裁が「ゼロでも良い」と発言したことからゼロ金利政策と呼ばれるようになった。



2.利上げと利下げ

・利上げすると、民間銀行は高金利で日銀からお金を借りねばならない
・民間銀行も潰れるわけにはいかないので、高金利で日銀から借りたお金は高金利で貸し出す
・こうして、世の中のあらゆる金利が上がっていく
・金利が上がっていくと、お金を借りる人が減ってきて、お金の動きが悪くなる、景気が落ち着く
・従って、中央銀行の利上げは、過度なインフレ期や、未然にインフレを防止したい時にすることが多い

・利下げすると、世の中のあらゆる金利が下がっていく
・現在、銀行に預けてもほとんど利子がつかない理由の1つ
・中央銀行の利下げは、過度なデフレ期や、未然にデフレを防ぎたい時にすることが多い



3.利上げをすると通貨高になる理由

仮に、日本円が金利そのままで米ドルが金利を上げて、次のようになったとする。

    日本円:政策金利0.1%
    米ドル:政策金利0.5%

    政策金利は中央銀行が民間銀行に貸し出す金利
    政策金利が上がれば預金金利も上がる

分かりやすくするために、政策金利=預金金利と仮定して考える
(実際は政策金利より預金金利のほうが圧倒的に低い)

    例えば、B社が現金1000億円を預金した場合
    (1年間の為替変動がないものと仮定)

    日本円建て:金利0.1% →1年後、1001億円
    米ドル建て:金利0.5% →1年後、1005億円

    1000億円を米ドルにしてから預けた方がお得
    従って、利上げされた通貨が買われる
    預金している1年間に為替レートが動く可能性は高いが、それはまた別の話

為替の影響を分かりやすくするために、極端な例を考える

    1ドル100円: 1000億円=10億ドル ←基準(預け初めの為替レート)
    1ドル200円: 1000億円=5億ドル ←ドル高後(預け終わりの為替レート)

    例えば、B社が1ドル100円で1000億円=10億ドル預金した場合

    日本円建て:金利0.1% →1年後、1001億円
    米ドル建て:金利0.5% →預け初め10億ドル、1年後10億500万ドル
    日本円に戻すと、元金分10億ドル=2000億円、利子分500万ドル=10億円、合計2010億円

    1000億円を米ドルにしてから預けた方が断然、お得
    利上げされた通貨が買われ、買われれば通貨高になり、為替レート分がさらにお得
    (もちろん、為替レートが円高ドル安に振れて大損する可能性もある)

これらより、FRB関係者の「利上げ」発言があったりすると、ドルが安いうちに買っておこうという投資家が増えて、円安ドル高になる



以下、資料

為替の取引額は巨額
仮に1社の年間取引高を360兆円とすれば、1日取引高は1兆円
取引手数料は1日いくら入るのか
(←クリックで拡大)
上図は「WE LOVE FX」様、2015年11月4日更新記事「FX業界勢力図」より引用
年間取引高、1社で数百兆円規模
http://www.fx-foreign-exchange.com/feature/powerbalance.html


wikipedia-外国為替市場
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E7%82%BA%E6%9B%BF%E5%B8%82%E5%A0%B4
国別の1日当たり外国為替取引額(2013年)
順位10億ドル世界シェア
1イギリスの旗 イギリス2,72640.9%
2アメリカ合衆国の旗 アメリカ1,26318.9%
3シンガポールの旗 シンガポール3825.7%
4日本の旗 日本3745.6%
5香港の旗 香港2754.1%
6スイスの旗 スイス2163.2%
7フランスの旗 フランス1902.8%
8オーストラリアの旗 オーストラリア1802.7%
9オランダの旗 オランダ1121.7%
10ドイツの旗 ドイツ1111.7%
通貨別の外国為替世界シェア(2013年)
順位通貨世界シェア
1アメリカ合衆国の旗 アメリカドル87.0%
2欧州連合の旗 ユーロ33.4%
3日本の旗 日本円23.0%
4イギリスの旗 イギリスポンド11.8%
5オーストラリアの旗 オーストラリアドル8.6%
6スイスの旗 スイスフラン5.2%
7カナダの旗 カナダドル4.6%
8メキシコの旗 メキシコペソ2.5%
9中華人民共和国の旗 人民元2.2%
10ニュージーランドの旗 ニュージーランドドル2.0%



















































4.主な通貨の政策金利

下表は「政策金利の推移」様、「2015年8月政策金利ランキング」より引用
http://seisakukinri.nekokuro.jp/1454

2015年8月の政策金利ランキングです。
順位国名利率前月比前年比
1ブラジル14.253.25
2ロシア11-0.53
3トルコ7.5-0.75
4インドネシア7.5
5インド7.25-0.75
6南アフリカ60.25
7アイスランド6
8中国4.6-0.25-1.4
9フィリピン40.25
10マレーシア3.25
11ニュージーランド3-0.5
12メキシコ3
13チリ3-0.5
14オーストラリア2-0.5
15サウジアラビア2
16ルーマニア1.75-1.5
17ポーランド1.5-1
18タイ1.5-0.5
19韓国1.5-0.75
20ハンガリー1.35-0.75
21ノルウェー1-0.5
22イギリス0.5
23カナダ0.5-0.5
24香港0.5
25アメリカ0.25
26日本0.1
27イスラエル0.1-0.15
28ヨーロッパ0.05-0.1
29デンマーク0.05-0.15
30チェコ0.05
31スウェーデン-0.25-0.5
32スイス-1.25-1.25

皆が買いたくない通貨(政治や経済が怪しい国)ほど金利が高くなるとのこと。
現地通貨で投資しても、政情不安で収益が見込めないから買いたくないのだろうか。

 注目は露で、2014年2月時点では5.5%、2014年10月時点で9.5%と急利上げ。ウクライナの件で急利上げをしたとのこと(ルーブル安が止められないためとのこと)。利上げは、インフレ抑制以外にも、戦争などで「皆に売られそう」と思った時、それを食い止めるためにも使われるとのこと。
 戦争による経済悪化で収益が見込めなくなるから売られるのだろうか。
 一般に、通貨安を食い止める政策の目的の1つには、外国通貨建て国債の償還費用を抑えることがあると言われる。ただし、露の通貨安政策の支払い目的は分からない。

 上記ロシアのような通貨安を食い止める政策、あるいは、日本のアベノミクスにおける通貨安を促す政策は、預金金利以外にも影響を与える。
 一般に、通貨安となれば、輸入品の原価が上がり、輸出品の原価は下がる。大量に輸出入するもの、日本であれば、石油の国内販売原価、自動車の海外販売原価などは大きく影響を受ける。逆に通貨高となれば、輸入品の原価が下がり、輸出品の原価は上がる。
 言うまでもないが、販売価格は原価に利益を上乗せしたもの。

分かりやすくするために、通貨安の極端な例を考える(1ドル100円基準)

    1ドル100円 輸入品A: 10ドル → 1000円(国内販売の原価)
    1ドル200円 輸入品A: 10ドル → 2000円(原価高で苦しい)
    1ドル100円 輸出品B: 1000円 → 10ドル(海外販売の原価)
    1ドル200円 輸出品B: 1000円 → 5ドル(原価安で儲かる)



以下、資料

「政策金利の推移」様より引用
http://seisakukinri.nekokuro.jp/

ロシアの政策金利の推移
http://seisakukinri.nekokuro.jp/541

ロシアの政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年15151412.512.511.5
2014年5.55.577.57.57.58889.59.517
2013年8.258.258.258.258.258.258.258.255.55.55.55.5
2012年888888888.258.258.258.25
2011年7.758888.258.258.258.258.258.258.258
2010年8.758.58.25887.757.757.757.757.757.757.75
 
日本の政策金利の推移
http://seisakukinri.nekokuro.jp/547

日本の政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年0.10.10.10.10.1
2014年0.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.1
2013年0.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.1
2012年0.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.1
2011年0.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.1
2010年0.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.10.1
 
アメリカの政策金利の推移
http://seisakukinri.nekokuro.jp/496

アメリカの政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年0.250.250.250.250.25
2014年0.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.25
2013年0.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.25
2012年0.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.25
2011年0.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.25
2010年0.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.250.25
 
中国の政策金利の推移
http://seisakukinri.nekokuro.jp/543

中国の政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年5.65.65.355.355.1
2014年66666666665.65.6
2013年666666666666
2012年6.566.566.566.566.566.31666666
2011年5.816.066.066.316.316.316.566.566.566.566.566.56
2010年5.315.315.315.315.315.315.315.315.315.565.565.81
 
韓国の政策金利の推移
http://seisakukinri.nekokuro.jp/549

韓国の政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年221.751.751.751.5
2014年2.52.52.52.52.52.52.52.252.25222
2013年2.752.752.752.752.52.52.52.52.52.52.52.5
2012年3.253.253.253.253.253.253332.752.752.75
2011年2.752.753333.253.253.253.253.253.253.25
2010年2222222.252.252.252.252.52.5

ヨーロッパの政策金利の推移(ユーロ)
http://seisakukinri.nekokuro.jp/537

ヨーロッパの政策金利の推移(2010年~2019年)です。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2015年0.050.050.050.050.05
2014年0.250.250.250.250.250.150.150.150.050.050.050.05
2013年0.750.750.750.750.50.50.50.50.50.50.250.25
2012年1111110.750.750.750.750.750.75
2011年1111.251.251.251.51.51.51.51.251
2010年111111111111



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参考サイト:
「稀に役立つ豆知識」様
http://www.maremame.com/

米国の利上げとドル高の関係
http://www.maremame.com/2014/09/blog-post_19.html



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