2015年12月13日日曜日
【研究ノート】 ドルペッグ制、通貨バスケット制、カレンシー・ボード制
目次
1.ドルペッグ制
2.通貨バスケット制
3.カレンシーボード制
(いずれも固定相場制の一つ)
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1.ドルペッグ制
wikipedia-ドルペッグ制
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%9A%E3%83%83%E3%82%B0%E5%88%B6
ドルペッグ制とは、自国の貨幣相場を米ドルと連動させるペッグ制(固定相場制)をさす[1]。
概要
経済基盤の弱い国・政情不安定な開発途上国の場合、それらの要因を敏感に反映し自国の貨幣相場が不安定な変動となりがちであるため、自国への海外投資や安定した経済運営を阻害し、取引を行う国々にとっても他国通貨による大きな不安定リスクの影響を受けることになる。
こうしたリスクへの対処と通貨相場の安定を目的として、自国の通貨レートを経済的に関係の深い大国の通貨と連動させるペッグ制が採用され、その中で主要な基軸通貨である米ドルと連動させる場合を特にドルペッグ制とよぶ。ドルペッグ制を採用する代表例には香港ドルなどがある。ドルペッグ制を採用する国々では、自国への海外資本流入を目的に、金利に関して米ドルよりも高い金利を設定するケースが多い。
メリット
基軸通貨である米ドルとシンクロ(連動)させることで、自国通貨の安定をもたらし不安定な自国通貨変動リスクを防ぐ
デメリット
アメリカ合衆国の金利政策と連動しているため、自国の通貨政策に対する裁量の余地が乏しく、また自国の経済実態と乖離して米ドル高が進行した場合、自国の通貨政策と経済運営に多大な影響を及ぼすリスクがある(例:アジア通貨危機)[2]
採用している通貨
香港ドル(一定範囲内での変動を認めている)
エルサルバドル・コロン
パナマ・バルボア(硬貨のみ)
中東産油国(クウェートは2007年5月に撤退)
なお、マカオ・パタカは香港ドルとのペッグ制を採用しており、実質的には米ドルペッグ制を採用している状態となっている。
注釈
1.^ ペッグ(peg)とは直訳すると「釘で固定する」の意であり、転じて通貨制度では固定相場制をさす。
2.^ (アジア通貨危機)1997年に発生した、アメリカのITバブルに伴うドル高に端を発したアジア諸国における一連の通貨高騰と暴落および固定相場制から変動相場制への移行をさす。当時、ドルペッグ制もしくは実質的に大半をドルに連動させる通貨バスケット制を採用していたアジア諸国に対して、安い人件費を目的に海外投資が集中していたが、米ドル高を背景に自国通貨が相対的に高騰し、相対的な価格競争力が低下していった。この結果、米ドル高のさらなる進行をきっかけに海外投資が一気に縮小、固定相場制から変動相場制への移行を余儀なくされた(詳細は「アジア通貨危機を参照のこと)。
関連項目
・ペッグ制
・通貨バスケット制 - ペッグ制と似ているが、複数の主要通貨による通貨相場の安定を目的とする点が異なる。
・固定相場制 - 金本位制
・変動相場制
・アジア通貨危機
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2.通貨バスケット制
wikipedia-通貨バスケット制
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%9A%E8%B2%A8%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E5%88%B6
通貨バスケット制は、自国の通貨を複数の外貨に連動したレートにする固定相場制のことである。
概要
外貨の構成比率は貿易比率によって決めるのが一般的である。1985年をピークに採用国数は減少傾向になった。その後、メキシコ通貨危機やアジア通貨危機が発生したため、近年見直されつつある。
先進国等、経済規模が大きい国では主に変動相場制が用いられており、そのレートは比較的大きく変動している。そのため貿易比率がある程度分散している場合、一国の通貨に連動する体制を取ったのでは他の貿易相手国との為替レートが大きく変動してしまう。それをある程度緩和できるというメリットがある。近年では2005年に中華人民共和国が採用した。ただし、通貨危機に耐えられるのは自由変動相場制かカレンシーボード制だけであるという考えもある。
デメリット
・通貨の構成比の計算方法や、市場介入が複雑になる。
ただし、固定相場制を導入している国は経済規模が小さい場合が多いので市場介入は一つの通貨に対してのみで良いと思われる。介入が小規模の場合、外貨間のレートに及ぼす影響は限定的だからである。実際にシンガポールでは米ドルにのみ介入を行っているようである。
・透明性が損なわれる。
通貨バスケットの計算方法を公表すると透明性が得られると思われる。チリ(1999年9月3日に変動相場制に変更)では実際に公表されていた。しかし、不透明である方が投資家からの攻撃を受けにくいとの指摘もある。
通貨バスケット制を用いている国
シンガポール
ロシア
マレーシア
中華人民共和国(2010年6月21日より、米ドルとの連動が解除される。[1])
ジンバブエ
関連項目
固定相場制
脚注
1.^ http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010061900338 人民元、対ドル連動を解除=中国人民銀-週明けから切り上げか、2010年6月20 時事通信社
参考文献
財務省委嘱調査・研究会
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/tyousa.htm
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3.カレンシーボード制
wikipedia-カレンシーボード制
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E5%88%B6
カレンシーボード制とは、為替政策の一つ。端的に言えば、国内に流通する自国通貨に見合っただけのドルを中央銀行が保有するという制度。その結果、自国通貨は100%、中央銀行の保有するドルにバックアップされるため、為替レートを固定するという政策に信認がもたらされる。中央銀行は自国通貨の流通量に見合ったドルの保有を義務づけられる為、無秩序に通貨増発が出来なくなる。
採用通貨
香港ドル は1983年以来、米ドルに対して1米ドル=7.8HKD(7.75~7.85の小幅レンジで変動)のペッグ制をとっている[1]。香港の米ドルペッグ制はカレンシーボード制であり、1香港ドルの発行ごとに相当する米ドルが裏付けられるように、発券銀行であるHSBC、スタンダード・チャータード銀行、中国銀行が香港ドル銀行券を発行する際、相当額の米ドルを香港通貨当局に預託している[1]。
出典
1.^ a b 張(2012年)74ページ
参考文献
張秋華著、太田康夫監修『中国の金融システム 貨幣政策、資本市場、金融セクター』(2012年)日本経済新聞出版社
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改訂履歴
なし
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